骨代謝マーカー DPD NTX CTX BAP Ca/Cr比 デオキシピリジノリンとは

その他の骨の検査

 骨密度の検査ではありませんが,血液や尿を採って,骨の増減速度を調べることができます。前述の骨密度の検査の欠点は,治療に対する反応が検査結果として表れるまで,何ヵ月もかかることです。今行っている治療が有効かどうかを判断するには時間がかかりすぎます。このようなことから,骨の作られる速度もしくは骨が溶かされる速度をみる骨代謝マーカーと言われる一群の検査は,骨密度の変化の予測に役立ち,治療効果の判定に有用です。
 骨代謝マーカーとして,骨の形成の指標となるものと骨の吸収の指標となるものがあります。前者には,骨型アルカリホスファターゼ(BAP)があり,後者にはデオキシピリジノリン(DPD),I型コラーゲン架橋N−テロペプチド(NTX),I型コラーゲン架橋C−テロペプチド(CTX)があります。BAP は,骨を作る骨芽細胞の表面にくっついている酵素で,この酵素が多いことは,骨の形成が活発であることを示します。DPD・NTX・CTX は,骨を構成するコラーゲンが分解される時にできることを利用して,骨吸収の程度をみる検査です。一日の尿を全てためて検査を行うのが理想ですが,通常は外来に来られた時の尿を採って検査をします。骨吸収には日内変動があり,深夜から早朝にかけて亢進し,夕方に最も低値となります。このことから,午前中の2回目の尿で判定するのが標準となっています。尿の希釈の程度で判断が左右されないように,尿のクレアチニン値を同時に測定して補正します。なお,NTX は,血液中の値を測ることもできます。
 骨代謝マーカーではありませんが,カルシウム値も重要です。特に,カルシウム剤やビタミンDを服用している時は,血中や尿中のカルシウム値が上がりすぎることがないように,チェックが必要です。通常,尿中のカルシウムとクレアチニンの値を測定し,両者の比(Ca/Cr 比)が0.3を超える場合は,薬剤の量が多すぎると判断し,減量します。

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