PSAとは 前立腺特異抗原 蛋白分解酵素 gray zone 前立腺癌の検査

PSA と前立腺癌

 PSA とは前立腺特異抗原のことで,prostate-specific antigen の略です。前立腺の細胞の中で作られ,前立腺液中に分泌される蛋白分解酵素で,精液の融解に関与します。この検査が注目されるのは,前立腺癌の検出に極めて有用であるからです。前立腺は,膀胱から尿道が出てすぐの所にある,クルミ大の臓器です。尿道を囲むように存在し,男性の生殖に関する働きをしています。前立腺関連疾患では,前立腺の内腺と呼ばれる部分が肥大し,尿道を圧迫して排尿障害や頻尿を起こす前立腺肥大症が最も頻度の高い疾患ですが,生命に関係するという意味では,外腺から発生する前立腺癌が最も重要です。前立腺癌は,元々日本人には少ない疾患ですが,生活習慣の欧米化により年々増加しています。PSA 値は測定方法によって多少違いはありますが,4ng/ml 以下は正常,10ng/ml 以上は前立腺癌の疑いありという判断をします。この中間の4〜10の範囲は gray zone と言われ,信号で言えば黄色信号です。しかしながら,この基準は元々米国での基準を引用したものであり,日本人の PSA 値が欧米人の半分程度であることを考えますと,2.5ng/ml 以上は gray zone と考えて前立腺癌の精密検査する方がよいと思われます。前立腺癌が疑われた時は,直腸より超音波のプローブを入れて前立腺を観察します。通常の超音波検査はおなかの上にプローブを置いて観察しますが,直腸からの方がより前立腺を詳しく見ることができます。この検査で癌と疑わしい病巣が見つかった時は,針を刺して一部を採取し,顕微鏡で癌細胞かどうかをチェックします(生検と言います)。

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