便潜血検査とは 化学法 免疫法 ヒトヘモグロビン トランスフェリン

便潜血検査とは

 便潜血検査は,便の中にある微量の血液を見つけるための検査です。便潜血検査には,化学法と免疫法の2種類があります。化学法は非常に鋭敏で,口から肛門までの全消化管からの出血で陽性を示すという利点がある反面,食物の肉汁中の血液や鉄剤にも反応するため,正確に検査するためには2〜3日間そのようなものを摂取しないことが必要です。一方,免疫法は,感度では化学法に劣りますが,ヒトのヘモグロビンのみに反応する検査法ですので,消化管出血以外で陽性に出ることは少なく,検査前の食事制限も必要ありません。反面,口から胃,十二指腸までの出血に対しては,大量でない限りヘモグロビンが消化液によって変性を受けるため陽性にはなりません。免疫法は原則として下部消化管からの出血を調べる方法と考えたほうがよいでしょう。
 便潜血検査は,貧血がある時の原因究明のためや,大腸癌検診のために行われます。大腸癌以外にも大腸腺腫,潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患でも陽性になり,これらの疾患が疑われた時にも,最初に施行する検査としての役割も持っています。
 一般に病巣よりの出血にはむらがあり,見落としを少なくするには複数回の検査が必要です。便を放置しておくと血液中のヘモグロビンが破壊され,便潜血検査の感度が落ちます。特に高温多湿下に放置されると,感度は大きく低下しますので,採取した便は出来るだけ早く検査することが望ましく,検査までは出来れば冷蔵庫のような冷暗所で保存するのがよいでしょう。尚,ヘモグロビンより安定なトランスフェリンを同時に測定することにより,感度を上げる検査キットも使われています。

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