C型肝炎とは HCV抗体 HCV-RNA検査 ペグインターフェロン リバビリン

C型肝炎

 C型肝炎はB型肝炎と違い,健康成人での感染であっても7〜8割程度慢性肝炎となります。感染は,主にC型肝炎ウイルスに感染している人の血液が他の人の体内に入ることによって成立します。感染経路としては,ウイルス検出技術が無かった時代の医療行為によるものが多く,輸血や止血剤フィブリノゲンなど血液製剤,注射針の使いまわし等の他,刺青やボディピアスでの感染などがあります。一般の方が新たに感染することは現在では極めてまれですが,医療関係者は針刺し事故等による感染の危険はあります。幸い,C型肝炎は血中ウイルス量が少ないため,感染力はB型より遥かに弱く,針刺し事故が必ず感染や発症につながるわけではありません。
 診断は,肝機能異常のある人や健康診断で HCV抗体が陽性であった場合,引き続き HCV-RNA検査を行いこれが陽性であれば感染が確認できます。HCV-RNA が陰性であった場合は,過去の一過性感染と考えられます。最近では,HCV 抗原検査(HCV蛋白検査)の精度も上がり,HCV-RNA検査と組み合わせて,現在の感染の有無を判断します。
 HCV は,遺伝子型によって6つに分類され,その内日本にあるのは 1a・1b・2a・2b です。血清型で分類することもあり,1群と2群に分かれます。遺伝子型と血清型は関連しており,1a と 1b は1群に,2a と 2b は2群に属します。また,治療の観点から,ウイルス量が多いか少ないかによって分類します。今日,C型肝炎治療の中心はインターフェロンですが,1群は2群より効きが悪く,1群の中でも 1b は 1a より更に効きが悪い傾向があります。また,ウイルス量の多い群は少ない群より効きが悪くなります。すなわちインターフェロンの最もよく効くのが低ウイルスの2群,最も効きが悪いのが高ウイルスの 1b となります。インターフェロン療法は約10年の間に進歩を遂げ,ペグインターフェロンという約一週間効果が持続する製剤が使用可能となり,リバビリンという抗ウイルス剤の併用も可能になりましたが,それでも難治例の著効率は現時点では半分程度です。ただ,効果が不十分な人でも肝癌の発生を予防する効果はあり,C型肝炎ウイルスを持った人は一度は専門医に相談してみるのがよいでしょう。グリチルリチンやウルソデオキシコール酸という製剤も,肝炎を軽快させる作用があり使用されます。

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