胸部レントゲン写真とは 心臓 大動脈 肺動脈 肺静脈 気管支 横隔膜 レントゲンの検査

胸のレントゲン写真には何が写っているの

 光は,多くの物質によって進行がさえぎられますが,X線(レントゲン線)と言われるより波長の短い電磁波は,金属を除く大部分の物質を透過します。この性質を利用して,体の内部の写真を撮るのがレントゲン検査です。X線は,物質の密度によって吸収される率が異なり,透過性のよい方から,@空気,A脂肪,B水,C金属の順になります。肺は主に空気から,皮下の組織は主に脂肪から,心臓は水とほぼ同じ透過性を持つ血液や筋肉から,骨は金属の一種であるカルシウムからできており,これらの順に白さが強くなる写真ができます。
 胸部レントゲン単純写真では心臓,大動脈,肺動脈,肺静脈,気管支の壁,横隔膜などが認められます。左の横隔膜の下には,胃の中のガスや大腸のガスがみられます。右の横隔膜の下は肝臓で,右肺の一部が重なって灰色に写っています。左右の肺にはさまれた部分は縦隔と呼ばれ,心臓・大動脈とその枝・肺動脈・肺静脈・上大静脈・下大静脈・食道・気管など重要な臓器や血管が通っていますが,X線の透過性の差が少ないため,ひとかたまりに写っていて辺縁の一部が認められるにすぎません。肺炎や肺癌は水に近い濃度ですので,空気を主成分とする肺野の中に,灰色ないし白く写ります。しかし,縦隔・肺門・横隔膜に重なる部分では,X線の透過性が似ているため,病変の部位を認めにくい場合があります。レントゲン単純写真はネガフィルムと同じで放射線が透過して多く当たったところが黒く,少ないところは白く写ります。肺炎や癌のように白く写る部位を「影」,肺気腫やのう胞で空気を多く含んで黒く写っているところを「明るい」と表現します。
 肋骨や脊椎(背骨)は写りますが肋軟骨は石灰化しないと筋肉と同じ濃度のため見えません。

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