CEAとは 癌胎児性抗原 大腸癌 胆道癌 肺癌 乳癌 子宮癌 甲状腺髄様癌

CEA

CEA は,Carcinoembryonic antigen の略で,日本語に訳すと癌胎児性抗原となりますが,通常は CEA という略称で呼ばれています。大腸癌細胞から抽出され,胎児大腸上皮細胞にも存在することから上記名称がつけられましたが,現在は正常上皮細胞にも多く存在することがわかっています。これらの細胞の CEA が血液中に入ってくると値が上昇します。正常値(基準値)は,5.0ng/ml 以下です。CEA は,大腸癌の診断に多用されますが,大腸癌に限らず多くの癌で陽性になり,膵臓癌・胆道癌・肺癌・乳癌・胃癌・子宮癌・甲状腺髄様癌などでも陽性を示すことがあります。これらはほとんど,臓器内の管の内面を覆っている円柱上皮細胞から発生する癌です。但し,いずれの場合でも早期癌では陽性率が低く,早期に癌を見つけるのであれば,大腸癌では内視鏡,肺癌では CT にはかないません。しかしながら,血液検査で簡単にできることから,一般診療や健康診断において多用されます。
 CEA 増加の程度は,転移の有無・浸潤度・腫瘍径など癌の進行度にある程度比例しますので,病気の重症度や進み具合の判定の参考になります。また,治療による癌の縮小により値が低下しますので,治療の有効性の判定基準となります。癌の根治手術症例では一ヶ月以内に正常値になりますが,転移や癌の取り残しがあると再度上昇してきますから,根治手術の成否の判定の目安ともなります。転移病巣の場所がほぼわかっている場合は MRI による検査が,全身のどこにあるかわからない場合は PET が有用です(120頁参照)。
 癌以外でも,膵管,胆管等の管腔が閉塞されると,CEA の排泄ができないため血流中に流入し,値が上昇します。CEA は,腎臓や肝臓で代謝されますので,これらの働きが低下した時も上昇します。また,喫煙によって上昇しますので,結果の判断には,喫煙本数を加味しなければいけません。

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