HbA1cとは 劇症1型糖尿病 HbAlc

HbA1c で,なぜ糖尿病がわかるの

 さて,HbA1c という不思議な検査があります。「ヘモグロビンエーワンシー」と読みます。ヘモグロビンはもともと体に酸素を運ぶ物質ですが,なぜ糖尿病と関係あるのでしょう。実はブドウ糖は,様々な物質に結合する性質があるのです。ヘモグロビンにもやはり,くっつきます。このブドウ糖のくっついたヘモグロビンの割合を見る検査が,HbA1c です。ヘモグロビンは赤血球中に存在し,約120日ごとに作りかえられます。つまり,ヘモグロビンは作られてから約120日の間,血液中のブドウ糖にさらされ,徐々にブドウ糖のくっついたヘモグロビンが増えるのです。ヘモグロビンは製造約120日後に壊され廃棄され,新しいヘモグロビンと入れ替わりますので,HbA1c がどんどん増えていくということはなく,一定の値でつり合います。正常な人ですと,5%前後でしょう。ところが糖尿病の人は,血糖値が高いので,ヘモグロビンがブドウ糖にさらされる量が多く,その値が上昇します。5.7%を超えると異常値となり,ひどい糖尿病の場合ですと,10%を超えることもあります。
 血糖値を見れば,糖尿病がわかるのに,どうしてこの様な検査をするのと疑問に思われる方があるかもしれません。実は,血糖値は空腹時は値が低く,食後は値が高いという性質を持っています。つまり採血する条件によって,値が大いに異なるのです。ところが,HbA1c は数ヵ月の平均値として測定値が出ますので,空腹であろうが,満腹であろうが,結果に影響が出ません。糖尿病の状態をよく表すということで,糖尿病の人を管理するには大変便利な指標となります。また,お医者さんは,空腹や,満腹時の血糖値をある程度予想することができますので,HbA1c との関連から,いくつかの情報を得ることができます。血糖値が比較的よいのに,HbA1c が悪い時は,「診察の数日前だけ摂生しているな」と推測することができます。また,血糖値が極めて高いのに,HbA1c が正常な時は,最近急激に発症した「劇症1型糖尿病」という特殊なタイプの糖尿病ではないかと推測することができます。このように,お医者さんは,血糖値と,HbA1c を上手に使って糖尿病の患者さんを治療してゆきます。

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