AFPとは α-フェト蛋白 AFP-L3 フコース フコシル化 肝臓癌の検査 肝芽腫 胚細胞腫瘍 AFP-L3とは

AFP(αーフェト蛋白)

 癌細胞では,しばしば幼若化と言って胎児の頃の細胞の性質が現れます。肝細胞癌でも同様のことが起こり,胎児の頃に産生したα-フェト蛋白を産生します。この蛋白は,AFP とも略されます。肝細胞癌の約3分の2ほどで上昇がみられ,肝細胞癌の存在を疑う根拠となります。肝細胞癌以外では,肝芽腫,胚細胞腫瘍でも上昇がみられ,胃癌も時にAFPを産生することがあります。肝芽腫というのは主に乳児に発生する特殊な肝臓癌です。胚細胞腫瘍というのは,精子や卵子から発生した腫瘍で,多くは精巣や卵巣にできますが,時にそれ以外の組織にも発生します。妊娠中は胎児の細胞から出たAFPが母体中に入ってきますので,上昇します。
 正常値(基準値)は,定量法で10ng/ml以下です。定性法という,より簡便な測定方法があり,単に陰性(−)もしくは陽性(+)で表され,正常な人はもちろん陰性です。
 AFPは,肝細胞癌の診断に大変有用な検査ですが,慢性肝炎等の良性の疾患でも高値を示します。これを補う検査として AFP-L3 と言われる検査が注目されています。AFP には,鎖のようにつながった糖がついています(糖鎖と言います)。この糖鎖の末端部分にフコースという糖が更についたものが,AFP-L3 です(フコシル化と言います)。この AFP-L3 は通常の AFP より,肝細胞癌で増加する傾向が強く,通常のAFPが高値の人にこの検査を加えると,慢性肝炎等の良性の疾患か,肝細胞癌かを区別することができます。しかし,劇症肝炎や自己免疫性肝炎で上昇することがあり,逆に AFP-L3 が上昇しない肝細胞癌もあります。これは,フコシル化の割合を見ている検査なので,慢性肝炎の肝細胞から通常の AFP が多量に分泌されると,AFP-L3 の比率が下がってしまうためです。

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